技術法務で
国の競争力を高める

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所

内田・鮫島法律事務所は、知財と法務を融合した技術法務を駆使して、国内の中小、ベンチャー企業を支えるプロフェッショナル。池井戸潤氏のベストセラー小説「下町ロケット」に登場する弁護士のモデルにもなった鮫島正洋代表は「我々は社会変革を実現するためのインフラの一部でありたい」と語る。

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技術系を背景に持つ弁護士が集結

「技術法務」という概念を立ち上げた鮫島代表だが、そのキャリアは異色だ。「メーカー、ハイテク中小企業、リアルテックベンチャー企業など、技術系の会社が数多くある日本において、当時、技術をきちんと理解したうえで法律的なサービスを提供できる法律事務所は一つもなかった。自分のバックグラウンドが技術系ということもありますが、『ここにマーケットがありそうだ!』と思ったのが、事務所を設立するきっかけでした」と振り返る。

技術で収益を上げたい、社会課題を解決したいと思っている会社のためにサービスを提供する法律事務所を作る。その思いを基に採用を続け、現在所属する弁護士の8割は理工学部・獣医師など理系のキャリアを持ち、残り2割も仮想通貨やNFTといった専門領域のエキスパートから構成される、ユニークなバックグラウンドを有する人材の集合体となった。鮫島代表は「何の職歴もなく弁護士になる方が普通だと思いますが、企業を顧客としていることを考えるとそれでいいのだろうか。マーケティング的な観点から社会経験のある人物を積極的に採用しています」と語る。

特許訴訟をイメージすることが多い技術法務だが、同事務所の技術法務には中小・ベンチャー企業に向けた知財コンサルティングが含まれ、顧客の持つ技術的、ビジネス的なポテンシャルを知財と法律の力で引き出し、向上させることを事業の柱にしている。鮫島代表は「ベンチャー企業など、最先端な技術を持っていてもそれがどう特許につながるのかという道筋を立てられない企業も多い。そこに我々が介在して、この技術ならこういった特許が取れる、そのためにはこうすべき、という段取りをアドバイスしていく。そのコストやリターンなど経営的な判断をするための材料を与える。強い特許を持っていれば、他企業との交渉力も増す。特許を活用して、他企業とどのような契約書を交わすべきか、というアドバイスもしていく。知財と法務の融合が技術法務の真骨頂です。当然、オープンイノベーションの支援も技術法務の軸になっています」と説明する。

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技術法務サービスの提供で社会貢献を実現する

法律事務所の本来的な業務領域ではない知財コンサルティングは、対象となる技術をしっかりと理解していないと不可能であり、技術バックグラウンドを持つ弁護士が集まる同事務所は、それが大きな強みになっている。鮫島代表は「知財コンサルティングは特許事務所、契約書は法律事務所という分け方をすると、アドバイスの整合性に問題が出てくる。それらを一カ所でまとめ、一人の弁護士が両方を担当するのが我々の実務。それによって、コストパフォーマンスとクオリティーの両立が実現できる」と胸をはる。

マーケットニーズに対して完成形だという同事務所のサービスだが、鮫島代表は「突出しすぎていて、追従者がいない状態」だという。鮫島代表は「本音を言えば、競合の法律事務所が出てきた方が世の中の認知度も上がるのでありがたいのですが、既存の法律事務所がいきなり技術法務部門を作るのはかなり難しい。技術系の弁護士を採用したとしても、トップが技術法務とその意義を理解していないと、一個人が勝手に動いているだけのように見えてしまう」と分析する。ブルーオーシャンを保ちづけているという観点で、メリットは大きいが、自分たちでマーケットを開拓していく難しさに直面している。特に、地方における格差を埋めるべく、技術法務を手がけたいという同じ志を持つ地方在住の若手弁護士と連携していくことを試みている。

戦後の高度成長期を経て、いいものを大量に作るというビジネスモデルで国の競争力を上げてきた日本。鮫島代表は「そういう時代はもう過去のもの。高度成長期の競争力を担った大企業が衰退し、その代わりに出てきているのがベンチャー企業であり、日本は大創業期に入ったと思っています。古いものが新しいものに取って変わっていく時代にあって、生き残るために重要なのはイノベーションを起こし、社会変革の最先端に立っていくことですが、この数十年、既存事業の拡張を行ってきただけの大企業には、イノベーションを起こした経験人材が社内にいない。だからこそ、ベンチャー企業と連携していく必要があると思います。それがオープンイノベーション政策の神髄ではないでしょうか」と問いかける。

オープンイノベーションは大企業のサステナビリティーのためにも必要だという鮫島代表は、技術を使って社会課題を解決したいと願う企業には、今後も協力を惜しまないという。「我々は法律事務所ですが、社会変革を実現するインフラの一部だと考えています。社会をどのようにしていい方向に変えていくか。その考えに基づいて動くべきなのが法律事務所なのです。技術法務サービスの提供で顧客のビジネス目標を実現し、社会貢献すること。将来日本の競争力が復活したときに、『内田・鮫島法律事務所があったから』と言われたい」と展望を語る。技術法務といった必要不可欠の分野で今後も日本の企業を支え続けていく。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所代表パートナー

鮫島正洋

1963年、横浜市出身。東京工業大学金属工学科卒業後、藤倉電線株式会社(現・株式会社フジクラ)に入社。在籍中に弁理士支援に合格。その後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社し、1996年に司法試験に合格。2004年に内田・鮫島法律事務所を開設。池井戸潤氏の小説『下町ロケット』のモデルになった技術系弁護士。

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