“介護難民”を救う
重度訪問介護を提供

株式会社土屋

重度障害者に対する訪問介護サービス(重度訪問介護)を全国で展開する「土屋」。高浜敏之代表は、ヤングケアラーや、高齢となった親が障害を持った子どもをケアし続ける老障介護などで、介護の引き受けてがいない“介護難民”を解決しようと、重度訪問介護サービスに取り組んでいる。

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介護職にキャリアアップを

ヤングケアラーや老障介護がメディアなどで問題になっているが、高浜代表は「当社の重度訪問介護サービスが課題解決の一助になれるはず」と語る。「サービスを受けたくても提供する事業者や担い手がいない。特に、都市部から離れた地域はサービスを提供する事業者が限られているのが現状」と指摘。また、相談相手となるソーシャルワーカーやケアマネージャー自身がサービスの存在自体を知らない、といったことも少なくないといい、同社では、重度訪問サービスの提供だけでなく、行政が開催するセミナーでレクチャーするなど周辺の課題もサポートしている。

また、サービス提供事業と資格研修事業を一体的に運営することで担い手を育成し、賃金も低く大変な仕事というイメージの強かった介護業界に、しっかりとしたビジネスモデルを導入することで、賃上げなどキャリアアップできる体制を整え、毎月500〜800人の応募があるという。他業種からの転職も少なくないといい、高浜代表は「介護が初めてでも、しっかりとした資格研修のプログラムが用意されているという安心感。また、他業種並みのキャリアアップが望めることに魅力を感じたという人も多い。とさまざまな動機の方が活躍しています」と胸を張る。

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社会課題を解決するトータルケアカンパニーに

元々、高齢者向けのデイサービスの会社から、重度訪問介護を全国に広げるために「土屋」を立ち上げた高浜代表は「別の会社からスピンアウトした形だったので、設立時から数百人規模の会社だったので、まずは、オンラインでミッション、ビジョン、バリューを共有する時間を設けました。その後もオリエンテーションや『社長室へようこそ』というイベントを開催するなど、定期的に従業員の話を聞く時間を設け、週に一度は現場に入るようにしています」と社内コミュニケーションにも取り組んでいる。

ホームレス支援などの社会運動にも参加してきた高浜代表は、話題の「ダイバーシティ&インクルージョン」について「社会運動の世界では1970年代ごろから言われてきたことが共通言語になってきた。自分が活動してきたことは間違いじゃなかったと感じている」と語り、社内に「ジェンダーイクオリティ委員会」を設置するなどジェンダーフリーにも取り組んでいる。

重度訪問介護サービスを先導する同社だが、今後はトータルケアカンパニーとして、障害者と高齢者の在宅ケアに、本格的に取り組むという。「専門店から総合商社に、というイメージですが、収益の最大化は二の次であり、手段だと思っています。社会課題を解決するというミッションが完了すれば、自然と収益が付いてくるはず。そのために永続性を持った体制を整えていきたい」と展望を語る。

株式会社土屋代表取締役

高浜敏之

1972年、東京都出身。慶応義塾大学卒業後、自立障害者の介助者や障害者運動、ホームレス支援活動などに取り組み、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。2020年、株式会社土屋を設立、代表取締役CEOに就任。

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