遠隔接客サービスが
目指す働き方改革

タイムリープ株式会社

店舗の接客を遠隔地から行うサービス「RURA」を展開しているタイムリープ。対応スタッフがモニターに表示される対面接客やアバターを通しての接客などが用意されているが、いずれも独自システムにより、少人数で多拠点の接客ができるのが特徴だ。店舗運営の効率化や接客業の新たな働き方の提案に加え、コロナ禍での非対面、非接触の需要にもマッチするサービスで、注目を集めている。

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人が持つ接客スキルを多拠点で活用するには

望月亮輔代表取締役は、ロボットメディアで編集長をしていた。AIを使った接客ロボットが登場した当時、「ワクワクした」という望月代表取締役だったが、日々さまざまな情報に触れるなかで感じたのは、時期尚早という思いだった。「人件費の削減や人手不足対策といった思惑で接客ロボットを導入した企業が多いと思いますが、接客をロボットが完全に代替するのは、まだ早いと思ってしまったんです」

ロボットメディアを通じて、ロボットの得意なこと、苦手なことが見えてきたという望月代表取締役。ロボットにとって、接客業は「どちらかと言えば苦手分野なのでは」と感じていたという。「ロボットは、Aと言われたらBと返すことはできますが、接客はそんなに簡単なものではありません。接客業の方は、もっといろんな情報を見ながら個々に合わせたサービスを提供しています。例えば、一つの質問に対しても、その裏に隠された意図を意識して、本当に困っていることを見つけ出してサポートすることもあります。現状、そういった人の接客をロボットで代替することは難しい。だとしたら、人の接客スキルを活用する方が社会的な課題解決になるのではないか、と思いました」と語る。

そうして生み出されたのが、遠隔接客サービス「RURA」だ。デジタル技術を活用し、人が持っている接客スキルをより多くの店舗で使えるようにすれば、労働力不足の解消にも繋がるのではないか。そこが、開発の始まりとなった。「例えば、シェアオフィスの受付の稼働時間は1時間のうち、多くても10〜15分。だったら、そのスタッフが複数の店舗をまたいで接客できるようになればスキルも活かせるし、ロボットを置いて自動化するよりも、お客様にとってよりよい接客体験を届けられるはず。そこをデジタルでうまくつなげられないかと考えました」と明かす。

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労働力不足を補う遠隔接客サービス

店頭に置かれたモニター越しに接客を行う「RURA」は、客からの呼び出しを起点にするだけでなく、スタッフ側から声をかけることも可能だ。ビジネスホテルや歯科医院など、幅広い業種に導入が進んでいるが、現時点で一番パフォーマンスが高いのはインターネットカフェで、約30店舗を3人のスタッフで接客している企業もあるほどだ。望月代表取締役は「業種問わず、店頭で接客が必要なところであればマッチする」と語るが、想定していなかった業種も多いという。「意外なところだとモデルハウス。ずっと横について接客されるより、家族で自由に見学した方が、住むイメージが湧くという方が多いようです。実際、それによって成約率が上がったという声もありました。ほかにも葬儀場など、遠隔接客サービスは、今までにない発想が次々と出てくるものだなと実感しています」と手応えを語る。

「RURA」が目指しているのは、最少人数で最大店舗を担えるようにすることだといい、接客の質を下げることなく、店頭での接客と変わらないような体験を提供することだ。望月代表取締役は「そこがうまくかみ合ってお客様から喜んでいただけた瞬間は、やはりうれしいですね」と笑顔を見せる。
望月代表取締役は「『RURA』『は、効率よくいろいろな店舗を飛び回って接客ができるもの」といい、「これまでの接客オペレーションと変わる部分もありますが、これまで大事にしていた“おもてなし”のような部分は継続して、『RURA』でも提供してほしい」と話す。

接客業での人手不足や、コロナ禍で浮き彫りになったサービス業の働き方改革などの社会課題へもアプローチが可能で、望月代表取締役は「コンビニエンスストアなどの無人店舗との相性はすごくいい。よりフィットしていくはず」と自信を見せる。

さらに「遠隔接客サービスがあれば、モニター一つで店舗が作れる。そういったところでの新しいサービスも考えています。より多くの業態に導入してもらいながら、遠隔接客の体験を通して、どんなサービスができるか、という部分は並行して開発を進めていきたい」と「RURA」の可能性を語る。

デジタルとヒューマンスキルを融合した、ハイブリッドな遠隔接客サービスの「RURA」は、新たな店舗運営方法としてさまざまな業態に変革を起こしていきそうだ。

タイムリープ株式会社代表取締役

望月亮輔

1988年生まれ。大学卒業後大手通信会社、動画メディアのベンチャー企業を経てロボットメディアを立ち上げる。法人化した後、事業売却を経験。売却先では取締役として国内最大のロボットメディアへと成長させる。2019年にタイムリープ株式会社を設立。

https://timeleap.co.jp/