コロナ禍で生まれた
独自サイズのタオル

株式会社スタイルアイコン

コロナ禍で在宅時間が増え、巣ごもり需要が高まり、快適な生活空間を作るアイテムの売上が増えている中、スタイルアイコンの台野真吾・代表取締役社長は、毎日使う“タオル”に着目。、タオル産業発祥の地、大阪・泉州から吸水力と撥水性に優れた「瞬間一瞬ハグタオル」を開発した。発売から約1年、「意外なニーズが潜んでいた」と語る台野社長に開発の経緯を聞いた。

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素朴な疑問が開発のきっかけ

生活に浸透するような商品を作りたいという思いから生まれたという「瞬間一瞬ハグタオル」。オリジナルのサイズ感に加え、驚きの吸水力と速乾性、そして包まれる=ハグのような滑らかな肌触りが特徴だ。コロナ禍で生活の質を上げたいという巣ごもり需要に応えるだけでなく、台野社長自身が、フェースタオルとバスタオルのサイズ感に疑問を持っていたことも開発のきっかけになった。

「もう少し使い勝手のいいサイズのタオルがないかな、と昔から思っていた。母から『男なんだからフェースタオルで拭けるでしょ』と言われたけど、、フェースタオルだと体を拭くにはちょっと小さい。女性もお風呂上りに髪の毛をターバン巻きするとき、フェースタオルだと小さいけどバスタオルだと大きい……といった悩みもあるのかなと思いました」と振り返る。

コンパクトで洗濯もしやすい「家事ラクサイズ」を目指し、フェースタオルとバスタオルの中間となる「ミニバス」と、全身が拭けてロングヘアも巻きやすいフェースタオルより長めの「スマートバス」サイズの2種類を用意した。当初は、持ち運びもしやすいサイズなのでヨガやジム通いでのニーズが高いと想定していた台野社長だが、需要は予想外のところに潜んでいた。

「コンパクトなサイズなのにしっかりと拭き取ってくれて、すぐに乾く。その結果、フェースタオルより長いから『首に巻きやすい』と配達員が夏場に使用したり、翌日の営業までに乾くからと飲食店員んが利用してくれました。日常的に温泉に通っている方が『バッグの中が濡れないから、持ち運びに便利』とリピートしてくれています。利便性の高さから、お歳暮や香典返しなどで大量買いされる方も少なくありません」と手応えを語る。

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ブランディングで業界に新風を

タオル産業発祥の地でもある大阪・泉州の工場で全て国産。吸水力と撥水性にもこだわった滑らかなタオル地は伝統ある職人が織りなすからこそ、特別な仕上がりになった。
「後晒(あとさらし)製法でつくられる泉州タオルは、編み方が特殊なので、洗濯の匂いや洗濯カスが残らないのも特徴。化学薬品を使っていないのでサステナブルでもあり、赤ちゃんや肌の弱い方にも使っていただける安心安全なこだわりタオルです」と胸を張る。

また、泉州タオルでの開発には「旧態依然としたタオル業界の役に立ちたい」という思いもあった。「泉州は約130年の歴史と伝統を誇るタオル産地ですが、職人や工場の営業担当者など高齢化が進んでいます。後継者問題もありますが、目下の課題は活性化。良い技術を持っているのに、うまく売れない。元々メディアやイベント企画に携わっていて、ブランディングは得意でしたので、その経験を生かして、何か役に立てないかと考えました。ものづくりの高齢化をプロモーション力やデザイン力でカバーして活性化していくことができればという思いもありました。自分が関わることで、少しでも生産者のためになれば、という気持ちが強いです」と語る。

タオル自体の品質はもちろんだが、より多くの人の目に止まるようネーミングにもこだわった。「パッと見て意味が伝わって心に響くキャッチーなものを、と『瞬間一瞬ハグタオル』を思いつきました。カラーも、工場の職人にはブラウン、紫、ベージュと言われたのですが、『ミスティックグレージュ』『サフランパープル』『アンティークブラウニー』と、女性がちょっと気になるなと思うようなネーミングにしました。製品自体に自信はありますが、やはり最終的に手に取ってもらうには見せ方も必要です」と明かす。

今後はバリエーションを増やすより、自分がこだわったサイズ感や利便性の良さに特化したアピールで、幅広い層のニーズに応えたいという。「一般的なタオルよりも小さいので、収納や洗濯がしやすく、、家事が楽になります。吸水・撥水に優れているので、ロングヘアーの女性ならドライヤーの時短にもなり、ヘアケアタオルとしての利用もおすすめです。自宅だけでなく、キャンパーやサウナ―、ウェルネス系のシーンなど、アウトドアでも便利に使える。『こういうタオルが欲しかった』と実感してもらえるはずです。今は年配の方が多いので、もっと若い女性にも『瞬間一瞬ハグタオル』を見つけていただきたい。そう思っています」とアピールする。

台野社長の素朴な疑問をきっかけに生まれた「瞬間一瞬ハグタオル」。メイドインジャパンのこだわりで、さまざまなニーズに対応し、伝統あるタオル業界に新風を巻き起こすだろう。

株式会社スタイルアイコン代表取締役社長

台野真吾

1981年、大分県出身。各種メディアやコンサート、イベント、地方創生などを企画制作する株式会社スタイルアイコンを2016年3月に設立。2021年7月、タオル発祥の地でもある大阪・泉州からタオルメーカーブランド「HUG.JP」を立ち上げ「瞬間一瞬ハグタオル」を発売。

https://styleicon.co.jp/