固定概念に捉われず
新たな事業に挑む

社会福祉法人祥水園

特別養護老人ホームや軽費老人ホーム、デイサービスセンターなどの各種福祉施設を展開し、地域に密着したサービスを提供している社会福祉法人祥水園の塩崎理事長。固定概念に捉われず、地域の人々とのコミュニケーションを大切にしながら新たな事業に挑み続ける塩崎理事長に、その思いの真意と今後の展望を聞いた。

01

アミューズメントパークのような“楽園”の創造へ

元々は祖父母が始めた事業で、自分が携わるとは思っていなかったという塩崎理事長。亡き夫が園長を務めていた時に、「これからは女性の時代、女性の細やかな気配りは老人福祉には必要」と言われ、勉強するところからスタート。勉強していくうちに、理念や思いに感動し、自分にとって天職だと感じたという。

現在、軽費老人ホームやグループホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターのほか、お弁当宅配サービス「野原ダイニング」、スポーツジム「Miracle」、コミュニティーラジオ局FM五條780と幅広い事業を展開している「社会福祉法人祥水園」。特に五條市初の会員制スポーツジム「Miracle」は、誰もが訪れることができる開かれた空間と地域の人々の健康と生きがい作りを目指した施設で、今年で7周年を迎えた。

「何よりも私自身が、運動することが心と体の健康のために重要だと感じているからです。また、運動することで運を動かすんです」と運動は、体だけでなくメンタル面でも重要だと熱く語る。今では約200人が会員となり、施設の利用者さんと地域の方自然とコミュニケーションを取れる場所になっているというが、「アミューズメントパークのような、1日遊べる、そんな場所を作り提供していきたいと思っています」と語る。

祥水園を運営していく上で、最も重要な部分として、「全て自分事だと思う」ことを職員に伝えている。「自分の大切な方が施設に来て、どう暮らしたいか、自分の親や祖父母、恋人だったらどうするかを考えて行動してほしいと伝えています。時には割り切ることも必要ですが、割り切るところから入らないでほしいと思っているので、人の気持ちを想像して、諦めずに付き合っていってほしいと願っています」と話す。

また、利用者だけでなく、職員も楽しく過ごせる空間を作りたいと思っているといい、地域の人を巻き込んで「バトミントン理事長杯」も開いている。「みんな本気で戦っています。私たちも地域の一員であるし、日頃からコミュニケーションを取っていきたい」と思いを明かす。

「老人ホームに入ると、世捨て人のように諦めてしまっている方が多いのですが、私は常に『これからですよ』と伝えています。心と体はつながっているので、運動、筋トレはとても大切ですし、運動して体感が鍛えられ、尿漏れしなくなると、外へ行くのか怖くなくなり、歩けるようになると出かけたい、旅行に行きたいと元気になっていくんです。また、筋トレによって飲み込む力が付くと食べる楽しみもできます」と、入所してから元気になっていく姿を見ることが職員らの励みになっている。

人生100年時代といわれる中、「寝たきりで長生きするのではなく、健康で長生きすることを目指して、運動、筋トレを推奨しています。40代から始めると予防になるので、それも広めていきたい」と運動の重要性を語る。

02

垣根を超え、みんなが楽しめる街づくりを

多くの人が楽しみにしている食事だが、福祉施設で出す食事は栄養バランスなどを優先し、地味で面白みがないものになってしまいがちだ。しかし塩崎理事長は、「私は食べることも楽しんでもらいたいので、とろみのあるムース状の食事ではなく、食べておいしいもの、そして『園長が好きやねんミラノ風カツレツ』などのメニュー名にしたり、バレンタインにハートのコロッケやチョコレートを出すなど楽しめるものにしています」と笑顔で語る。食事は栄養面の充実のみならず、楽しむ要素も重視して、「野原西Village」に併設された「カフェ澪の街」で提供することも視野に入れているという。

「五條市が空き家を使った事業を支援しているので、高齢者や地域の方、子どもたちでピザを作ったり、障子を貼ったり交流する拠点にしていきたいなと考えています。さらに、吉野川の河川敷で、何かできたら各地から人が集まってくるのではと構想を練っています。五條市に住みたい、働きたいと思って人が集まってくれたら、地域全体が元気になると思っています。今後も祥水園のみならず、若い人が夢を持てるような社会、そして高齢者が快適に楽しく過ごせるような街づくりに尽力していきたい」と思いを語る。

常に自分事として捉える思いやりを持ち、人とのつながり、コミュニケーションを大切にしている塩崎理事長。より良い老人福祉のみならず、街づくりへと展開していくようだ。

社会福祉法人祥水園理事長

塩崎 万規子

1959年、奈良県生まれ。追手門大学卒業後、主婦として3人の子どもを育てる。2003年に「祥水園」の副園長に就任。その後、同園園長を経て、2014年理事長に就任。2016年、五條市に「野原西village」を開設し、心と体の健康のために、スポーツジムを開く。地域との繋がりを大切にさまざまな事業を展開している。

http://shousuien.or.jp/