顧客視点の設備提案
作業効率向上を実現

株式会社静岡冷工

青果市場などの冷蔵冷凍庫の冷凍機設置や空調設備を手がける静岡冷工。顧客のニーズを徹底的に探り、高い技術力で、作業効率をアップさせる設備の設置を提案してきた。「生産効率を高めて、製造原価を1円でも下げられれば」と語る平田繁男代表に聞いた。

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作業導線の改善で原価削減

水産業が盛んな静岡県には、冷蔵・冷凍設備会社が多く、創業当初から競争が激しく、顧客の奪い合いが肌に合わなかったという平田代表は、顧客を通じて長野や茨城など関東の顧客を紹介してもらうようになった。さらに東京に拠点を作る際には、周囲から「地元でダメなら東京なんてもっと難しい」と言われたが、「顧客とのコンタクトを密にすれば、東京という広いマーケットでも勝負できる」という強い意志で実現。今では九州にも顧客を広げている。

青果市場をはじめ、食品工場の冷蔵・冷凍設備に高い実績を誇る同社の大きな特徴は、市場や工場内の作業導線の改善などの作業効率の向上を考えた設置を提案していることだ。平田代表は顧客へのヒアリングを通してニーズを徹底的に探り、「お客様サイドに立った設備内容を心がけている」という。

創業当初、豆腐工場に設備を導入した後、作業導線が大きく変わり、効率が落ちてしまうことがあったため、平田代表は「せっかく新しい機械を入れるなら今より効率よく働けるように、作業導線をレベルアップして、生産効率を高めて、豆腐1丁1円でも製造原価を下げられれば」と考えた。そこから同社が掲げる「1円の提案」という言葉が生まれた。

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「大事なのは、故障しないこと」

さまざまなニーズに応える高い技術力も同社の大きな強みだ。看板商品である4面どこからでも出入りできる4面壁パネル可動式冷蔵庫設備は、「初めて青果市場の仕事をしたとき、その市場の社長から『4面どこからでも出入りできるようなものがほしい』と言われた」という顧客のニーズから生まれた。当時は、2面から出入りできるものしかなく、平田代表は独自開発を決意し、「パネルから冷却、全部を責任もってやらせてほしいと提案し、一発OKをもらいました。お客様のオーダーには固定観念を捨てないとダメだと実感し、『できないことはない。必ず改善方法はある』と、非常に勉強になりました」と振り返る。

「施工の中で一番大事なのは、故障しないこと」という平田代表は、顧客に年1度の点検整備を呼び掛けている。そこには環境保全の意味も込められている。「昔は冷却ができなくなったらフロンガスを充填すればよかったが、現在国の指針で制限されています。顧客からは追加充填のオーダーもありますが、充填をせずに機械を修理して、それでも改善しないなら新しい機械と入れ替えてください、ということをしっかりと伝えるようにしています」と説明する。

「最大の責務は社員の家庭を守ることだ」と語る平田代表。将来を見据え、「当社ならではの技術を提案していきたい。自分は『価格を重視するなら他社でやってみてください』というスタンス。価格だけ見てしまうと、作業導線など効率が全く考えられていないものができ上がることも少なくありません。故障もなく、長く使えて、最終的に『安かった』と思ってもらえれば」と語る。

株式会社静岡冷工代表取締役

平田繁男

1947年、新潟県出身。印刷会社勤務を経て、1980年に平田冷熱設備を創業。その後、会社組織の必要性を痛感し、1986年に株式会社静岡冷工を設立。

https://shizuoka-reikou.com/