日本のシステム開発
AIの活用で改革

六元素情報システム株式会社

「ITの力で、感動と幸せを創造する」をミッションに掲げ、システム開発を軸にITソリューションに提供する六元素情報システム株式会社。余平社長は、テスト工程を大幅に削減する製品やChatGPTなどのAIを活用したサービスで「コストが高く、期間も長い日本のシステム開発を改革したい」と意気込む。

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テスト工数削減ツールを提供

設立当初から、金融系のシステム開発を主軸に事業を展開してきた。上流から下流まで安全性の高い、高品質なシステムを一手に構築する中で、余社長は「日本のシステム開発はテスト工数が膨大で、それが開発コストを高くしている」と気付いた。そこで、テスト工数を大幅に削減できるツール「ATgo」を開発した。「中国では『障害があっても直せばいい』となりますが、日本では障害に対しての許容度が少ないので、そうはいかない。特に金融系のシステムが主軸なので、障害がないように注力しすぎた結果、テスト工数がとても多くなってしまった。テスト工数を削減すれば、システム開発自体のコストも下がる。当社だけでなくエンドユーザーにとっても利益があることだと考えています」と語る。

ATgoが対応する領域は、ニーズが高い割に日本ではまだ数が少なく、世界でも上位を欧米発のツールが占めているという。ATgoは、機能的にも世界上位の製品と劣らないが、リーズナブルな価格で提供でき、日本ナンバーワンのツールを目指している。余社長は「高い技術力を持った自社のエンジニアが開発全てを担っていることで、コストコントロールができる。世界で活用されている製品よりも低コストで利用してもらえる」と胸を張る。現在は、ウェブシステムの開発で活用できるツールとしての提供だが、今後はスマホアプリのテスト機能を追加するなど、大幅な機能強化も予定しているという。

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リーダー層が積極的にチャレンジする姿を

同社では、ChatGPTなどのAIを活用したソリューション開発に取り組んでいる。余社長は、ChatGPTなどの自然言語処理機能を活用することで、さまざまな分野で高いニーズがある業務の効率化が期待できるといい、「まずは、ヘルプデスクやコールセンター業務の効率化に取り組んでいます。AIを活用することで小さなコストで始められる」と期待する。

さらに、GPT技術を活用することでシステム開発も高速化できるという。余社長は「開発の手法も、テスト工程の多さも、開発期間が長いことも、最初に日本でシステム開発に携わった約30年前からほとんど変わっていない。日本がIT後進国といわれるのは、そういった開発期間が長く、ITコストが高いことが原因だと思う。ChatGPTなどの最新技術を活用して、ソースを自動生成したり、設計に利用したりと、早く安く品質のいいシステム構築できる手法を研究開発しています」と語る。

設立から11年間、チャレンジを続けてきたと振り返る余社長は「最新技術の活用でIT業界自体が大きく変わる中で、今の日本は社会全体が安全を第一に考えすぎて、挑戦しづらい雰囲気だ」と指摘する。「安全を優先するのは素晴らしいことですが、もっと挑戦できる雰囲気作りをしていかないと、世界で日本のステータスは下がるばかりで、経済発展にもつながらない。若い人に任せるのではなく、リーダー層が危機感を持って、積極的にチャレンジしていく姿を見せていくことが必要だ」と力を込める。

余社長は、今後も社会的ニーズを踏まえた問題解決型の新たな製品やサービスを提供したいといい、「AIを利用して全体のコストを下げられるので、もっと皆さんの困りごとを解消できると思う。顧客に感動を与え、支持されるものを提供する。それが会社の発展につながり、社員の利益にもなる」と意気込む。

六元素情報システム株式会社代表取締役社長

余平

1968年、中国湖北省出身。上海交通大学コンピュータ学部卒。慶応義塾大学EMBA5期卒。2012年に六元素グループを創業し、六元素情報システム株式会社代表取締役社長就任。

https://www.rgsis.com/