【大学特集】
「経世済民」で
社会課題解決の場に

大阪経済大学

1932年に創立された大阪経済大学は、社会科学・人文科学系の5学部6学科4研究科を有する私立大学だ。創立100周年に向け、四つのビジョンを打ち出した山本 俊一郎学長は「『経世済民』の概念の下、社会課題の解決方法を学ぶ場」を目指す」と語る。

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創立100周年の四つのビジョン

大阪経済大学は、大阪市内の都心部に位置することから、地理的な利便性に恵まれています。大学は、多様な人々が交流し、刺激を受けながら知識や価値を創出する場です。理工系プログラムを提供していない経済・経営分野を中心とした社会科学系の大学ですが、心理学や、スポーツ、データサイエンス、情報など幅広い学問領域を配置している都市型複合大学です。

2024年4月には、新たに国際共創学部を開設しました。同学部では、経済学と社会学を基盤としながら、多面的な見方・考え方を備え、多様な解を生み出す人材を育成していきます。具体的には、環境問題、貧困、国際紛争、少子高齢化など解決困難な社会課題に対して、さまざまな人々と協同しながら対処できる人材を輩出することを目指しています。

ここでの「国際」とは、海外や外国語といった意味ではなくグローバルとローカルの両方を併せ持った視点を指します。例えば、地域の問題を国内だけで解決するのではなく、国際的視点からも問題に対処できる人材を育成することを目指しています。

加えて、大阪は中小企業が多い地域であることから、その発展に寄与するため、中小企業・経営研究所を設置しています。中小企業に関する専門研究機関としては、国内外から高い評価を受けており、地域活性化に貢献するための必要な研究が蓄積されています。また、日本経済史研究所を設置しており、日本経済史研究者のネットワークの中核として、本学がその役割を果たすとともに、古文書などの資料も充実しています。

2032年の創立100周年に当たり、一度原点に立ち返り、新たなミッションを策定するとともに、「創立100周年ビジョン」として四つのビジョンを打ち出しました。「教育ビジョン」は、学生が自ら学びをデザインし、予測困難な時代に適応できる力を養う学習環境を提供します。「研究ビジョン」は、知の「結接点」となり、多様な研究者が集い、知識を共有する場を形成します。「社会実践ビジョン」は、商都大阪の原動力として中小企業の事業承継や起業を支援するハブを構築します。そして「大学運営・組織ビジョン」は、学びを促進し、居心地の良い学習環境を整えるとともに、学びを支える制度や施設の整備を進めます。

この四つのビジョンを実現し、創立100周年を迎えるにふさわしい発展を遂げることを目指しています。

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将来の最適な道を見つける準備を

現代は、就職後に数年で転職することが一般的な時代となっています。一つの分野を専門的に突き詰めることも重要ですが、人生は一筋縄ではいかないものです。そこで、大学4年間のうちに、留学や企業のインターンシップなどのさまざまな経験を積むことで、人生における選択肢を増やしてほしいと思います。経験を通じて、将来自分にとって最適な道を見つけ、極めるための準備をするのが大学の醍醐味だと考えています。

大阪経済大学の「経済」は、経済学の範ちゅうにとどまらない「経世済民」という概念の下、課題に直面している人々を支援する意味を指しています。本学が社会学や心理学を含む幅広い学問領域を提供していることからも、根本的には一般の人々を支えるための社会課題の解決方法を学ぶ場であると捉えています。このような考え方を常に胸に刻んでいることが大切だと感じます。

ただ単に大学に通い、知識を得るだけでなく、現代の社会課題に真剣に向き合い、解決策を模索し、貢献していく姿勢を大学で学ぶことが重要です。学問を通じて、経世済民のために何ができるかを学生たちに伝えたいと考えています。

大阪経済大学学長

山本 俊一郎

1974年生まれ。1999年埼玉大学大学院教育学研究科教科教育専攻 修了。2003年東北大学大学院 理学研究科 地学専攻博士後期課程 修了。2005年大阪経済大学 経済学部 講師、准教授、 教授を経て、2019年より現職。

https://www.osaka-ue.ac.jp/