無人島リゾート通じ
沖縄の人々を豊かに

株式会社 OKINAWA RESORT LAB

沖縄の無人島でITとリゾートを融合させた新たなマーケットの創造を推進するOKINAWA RESORT LAB。沖縄出身の呉屋敦士代表取締役は「事業を通して沖縄の人々を豊かにしたい」と語る。IT事業を主軸とする同社が無人島で手がけるプロジェクトとは――。

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沖縄でモバイルオーダーを展開

OKINAWA RESORT LABは2018年、飲食店などでスマートフォンやタブレットを使って注文をする「モバイルオーダー」を、中国で展開していた友人から、呉屋代表に「日本でもそれを広めたい」と相談されたことをきっかけに設立された。「実際に自分が中国で体験したモバイルオーダーは『便利』の一言でした。店員も来なければ、メニューも会計も不要で、来店してから注文までのオペレーションがとてもシンプルでした。こんな便利なものがあるなら、自分の地元である沖縄にも広めたいと思った」と話す。

コロナ禍前の日本では、まだモバイルオーダーが浸透しておらず、さらに中国からそのまま導入したシステムは、お通しや飲み放題といった日本独自のサービスとマッチせず、営業には苦戦した。だが、どこよりも早くワンタイムQRコードを取り入れるなど、シンプルで安く、素早く対応することをコンセプトに開発を続け、現在は沖縄だけで200以上の店舗が導入するまでに成長した。

「多くの店舗に導入いただいているのは、出来合いのシステムを使ってもらうのではなく、店舗ごとに細かいところまで汲み取って改修してきた成果だと思います。沖縄の飲食店約1万軒のうち、7割が個人経営などの小さなお店なので、そういったところにもしっかりと広めていきたい。自分が便利だと感じたものを地元、沖縄の人たちにも喜んで使ってほしい。もうけよりも私自身の信念です」と力を込めた。

02

ITを駆使した無人島開発で地域活性化を

「事業を通じて沖縄の人々へ豊さを提供する」がコンセプトの同社では、沖縄本島の南部・南城市の無人島「アーヂ島」を保有している。呉屋代表が以前、ビーチクラブをゼロから創業開発した経験を生かし、無人島に本格的なビーチクラブとITの研究施設を開発しようとしていたが、開発を進めるタイミングで新型コロナウイルスの感染拡大が発生した。呉屋代表は「地域の人々との交流や風土を感じる中で、『地域の人が誇りに思えるようなものでありたい』と気持ちが変化し、無人島を地域活性化につなげるにはどうしたらいいのか」とプロジェクトについて改めて考えているという。

同島は、琉球創始の言い伝えにも登場し、神の島とも呼ばれており、周辺には世界遺産や重要文化財も多く、「前のオーナーが限られた人しか入島させていなかったので、謎の島とも言われているんです。島が地域の“謎”から“宝”になるように、地域の伝統や文化と融合した開発を目指し、地質学の専門家の力も借りて、しっかりとしたストーリーを作り、それを具現化することで、地元の方々を豊かにしたい」と明かす。

沖縄は、1人当たり県民所得が全国最下位で、近年「子供の貧困」が問題となっている。その現状を憂う呉屋代表は「ITソリューションを駆使した無人島開発を通じて、『こんなにカッコいい地域で生まれ育ったんだ』ということを地元の若者たちに向けて発信していきたい。そこから若者たちが経済でない豊かさを感じることができれば、地元を活性化したいという思いにもつながり、結果的に地域が磨かれ、経済的にも豊かになるはずだと思います。『経済だけではない豊かさとは何か』を研究するという意味で、社名も『LAB(=ラボ、研究室)』としました」と思いを込めた。

「10年後はメタバースが当たり前のようにあったりするでしょうから、どこまでリアルを追求して、取り入れるのか。沖縄発の自分たちが大きくなる鍵はそこにあるのかもしれません」と語る呉屋代表。「本当の沖縄の姿を思い返せるような無人島リゾートを提供したい」と前を見据える。

株式会社 OKINAWA RESORT LAB代表取締役社長

呉屋 敦士

1981年、沖縄県出身。メガバンクの不動産部勤務を経て、不動産や建築会社を経営。2018年、株式会社OKINAWA RESORT LABを設立、代表取締役に就任。2019年に無人島のアーヂ島を保有し、リゾート事業にも力を入れている。

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