国産ソファメーカー
創業20年目の挑戦

株式会社NOYES

デザインから生産、販売まで全てを自社で行う国産ソファメーカーのパイオニア、NOYES。これまでのBtoCでの商品販売を基盤に、2022年10月からクリニックや施設、企業を対象としたオーダーメード受注のコントラクト事業部をスタートする。創業20年目で挑戦する新事業への思いを牧謙次郎代表に聞いた。

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自分たちで作ったものを自分たちで売る

シンガーソングライターとして東京を拠点に音楽活動を行っていた牧代表は、両親と兄が立ち上げたソファの生産工場の売り上げを何とかできないか、と母から相談を受けた。「まずはインターネットでソファを売ってみようと考えました。当時はまだインテリアのネット販売が盛んではなかったので、無理だといわれましたが、試行錯誤の結果、思ったよりも販売が伸びた」と振り返る。ちょうど将来のことを考えていたこともあり、2003年、音楽を辞めて会社を設立。父の他界後はソファ製造を兄、販売は牧代表が担当し、二人三脚で事業展開している。

自社でデザインから生産、販売まで一貫してできるのが強みだ。設立当初は他社からのOEMが中心だったが、現在は自社ブランドが99%を占める。そして、「お客様第一主義」という理念の下、高い技術を持つ職人とホスピタリティーにあふれた販売スタッフが互いに業務の楽しさ、難しさを共有する会社づくりをしているという。「私たちの信条は、自分たちの手で作ったものを自分たちの手で売ることです。自分たちが作ったものであればクレームがあったときも、ちょっとした要望にもすぐに対応することができます。お客様の期待に応えるのはもちろん、その期待以上のことに応え続けていく。お客様を裏切らない、絶対的な信頼を届けていくことが企業理念ですから」と話す。

02

時代に流されることなく、信じるものをやり遂げる

創業から20年、BtoCでの商品販売をベースに成長し続けてきたが、2022年10月からはクリニックや施設、企業を対象にしたオーダーメードのコントラクト事業部を新たに展開する。コロナ禍で在宅時間が増え、「上質なソファが欲しい」というニーズから売り上げも好調だが、少子高齢化による需要減に備え、値上げなどマイナスの策ではなく、新たな市場を開拓しようと考えた。「元々インテリア市場の中から、ソファ市場だけで勝負をしてきからこそ、ここまでシェアを伸ばすことができたので、同じようにコントラクト市場のソファ市場を狙ってみたいと思いました。コントラクト市場というのは、大手企業が多く参入しているレッドオーシャンですが、ソファというニッチな市場ならブルーオーシャンをつくれるのではないか。施設であれば少子高齢化の影響も少なく、施設の質を高めるソファを選んでもらえるので、ソファだけに注力してシェアトップを目指していきたい」と語る。

牧代表は、コントラクト事業とコーディネート事業、生産、販売、輸入生地の取り扱いなど五つの事業ごとに分社化し、いずれはホールディングス化したいと語る。「顧客の心理もそうですが、3ヵ月先に何がどうなっているか分からない業界です。10年後はもっとインターネットの技術が発達していくと思いますが、それを踏まえつつもNOYESとしての譲れない信念はそのままに、国産ソファブランドのフロンティアとして走り続けていきたい」と力を込める。

社名の「NOYES」について、「流行にNOを。普遍にYESを。」と自社HPに言葉を掲げている。これは牧代表のシンガーソングライター時代の苦い経験からの信条でもあるという。「15年ほどの音楽活動の中で、ずっと自分の信じた音楽をやってきたつもりでしたが、最後は少し流行にとらわれてしまい、それがきっかけで音楽を辞めざるを得なくなった。NOYESでは、後悔がないように、周りや時代に流されることなく、自分が信じるものを最後までやり遂げる強さを大事にしていきたい」と信念を語る。

社会に求められる企業を目指して、児童養護施設にソファを寄付したり、子供たちとのソファ作りをするなど、社会活動にも積極的だ。今後もソファひと筋のこだわりと情熱、信念を持って、そのブランド力を高めていく。

株式会社NOYES代表取締役

牧謙次郎

1972年、愛知県出身。シンガーソングライターとして1999年にメジャーデビュー。地元で父と兄が立ち上げた国産ソファ工場のオンライン販売を手がけたことをきっかけに、2003年にソファ販売を軸にした株式会社NOYESを設立。

https://www.ny-k.co.jp/