プライバシー配慮で
女性に安心の医療を

森女性クリニック

和歌山市にある森女性クリニックは、患者の持つ不安をできるだけ軽くできるようにと患者同士が極力対面しない導線を作ったり、名前ではなく番号で呼んだりとプライバシー保護に力を入れている。森久仁子院長は、女性の生涯全般にわたる健康維持をサポートするホームドクターとして、女性のQOLを高めることを目標としている。

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患者の不安を軽くする雰囲気作り

森院長は、プライバシーに配慮したクリニックの空間作りを徹底している。自身が患者として、多くの患者がいる前で名前を呼ばれたり、症状を伝えたりすることに対して不快感を持った経験から、名前ではなく番号での呼び出し、待合室では患者の視線が合わないようソファをテレビモニター側の一方向にそろえ、個別の椅子は窓側と壁側に配置している。さらに、診察室前の中待合も入口と出口を別にし、患者同士がなるべく対面しない導線を作っている。待合室で症状を記入する治療効果に対するアンケート用紙も、患者が書き終えたあとは封筒に入れて受付に渡してもらうという徹底ぶりだ。

「婦人科は、他の科よりもデリケートな悩みを抱えている方が多いので、周りの視線など他のことでさらにストレスを持ってほしくない。二つある診察室でも、声が聞き取りにくくなるような音域の音楽をかけるなど、プライバシーに配慮しています」という。

また、患者の不安を軽くするため、医療者が一方的に説明して診察を終えるのではなく、患者側が気軽に質問や相談をできるような雰囲気を作っている。「婦人科の場合、こちらが掘り下げて聞くと、性的でプライベートな内容になることもあるので、表情やしぐさを見ながら対話をするよう心がけています。限られた時間の中で、きちんと話を聞き出して、不安になる要素をなくしてリラックスしてもらう。そこが他のクリニックとは違うところだと自負しています」と胸を張る。

特に初診の場合、時間を長めに取っているが、最近はインターネットで事前に情報収集をする患者も多く、さまざま情報の中で症状と直接結びつかないような疾患を心配している場合もあるといい、「インターネットでは、可能性が低そうな病名も全て羅列しているので、そのズレを修正しながら根底にある不安を解消するのに苦心しています。受診する際に抵抗感がないクリニックだと思ってもらえるように、医療者側が受け入れる器も持っていなければ、と思います」と語る。

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全年齢を対象にした女性医療を

思春期、成熟期、更年期、老年期と年齢によってさまざまな症状や疾患がある女性の立場に立ち、安心して相談できるクリニックになることが目標だという森院長は、「女性のQOL向上には、自分の体や健康について相談できることも重要な要素。女性の社会進出や活性化の手助けができることが理想」だと力を込める。「年を重ねると仕方ないとあきらめてしまう人も多く、生き死にに関係ないから、と放置してしまいがちですが、日常生活に支障が出てくるようになれば、最終的には活動の制限になってしまう。寿命が長ければ長くなるほど、老年期、壮年期のケアが大事になってくる。今まで、産婦人科は生殖年齢の人のためのものというイメージがありましたが、それを変えたい。開院当時は60~70代の方に『場違いなところに来てすみません』と言われたこともありました。10年たって、年齢層も幅広くなってきましたが、今後は全年齢の女性のQOLが高まるような医療を提供していきたい」と語る。

院長は「女医の場合は期待値が高いので、できるだけその期待に応えていきたい」と語り、これからも患者が「女性のことを最大限考えてくれている」と実感するようなクリニックを目指していく。

森女性クリニック院長

森久仁子

和歌山県出身。大阪医科大学産婦人科学講座に入局し、産婦人科専門医・医学博士・母体保護法指定医・マンモグラフィー読影認定を取得。同大学助教・和歌山労災病院産婦人科を経て、2012年に和歌山市に森女性クリニックを開院。

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