【大学特集】
ジェンダー平等の
視点を備えた女性を育てる

京都女子大学

2020年に創立100年を迎えた京都女子大学は関西の女子高等教育の先駆者として歴史を紡いできた。竹安栄子学長は「ジェンダー平等の視点を備えた女性を育てていきたい」と語る。

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女性が学ぶ機会を提供する100年

現在、男女格差の指標であるジェンダーギャップ指数(GGI)において、日本は最低のレベルに位置しています。女子大学独自の環境で、学生たちが男性の視点を気にせずに伸び伸びと行動し、発言し、力を伸ばすことのできる場を提供しています。

本学の前身である京都女子高等専門学校は、甲斐和里子、大谷籌子(かずこ)、九條武子の3人の女性が発願して設立されました。特に大谷は、仏教の平等思想に根差して、男女の機会均等を積極的に提唱していました。彼女は男女平等の社会実現のため、女性も学ぶ機会が必要であるという信念から、女性の高等教育機関の設立を発案しました。大谷は全国仏教婦人会を組織し、30万人以上の女性会員が募金活動を展開し、その募金が設立資金の一部となって学校が設立されました。これは本学の歴史として誇り高い出発点です。

2020年には創立100周年を迎え、設立に尽力した3人の女性と全国仏教婦人会の30万人の願いに立ち返り、新たなビジョンを掲げました。そのビジョンとして、教育理念に「ジェンダー平等の実現に貢献できる女性の育成」を掲げています。日本社会においてジェンダー平等を促進し、伸びやかに自分らしく生きることのできる女性を育成するという使命を胸に、運営に取り組んでいます。

1年目の必修科目で行われている仏教学の授業では、私が一時間ほどジェンダー平等に関する講義を行ったり、共通領域においてもジェンダーに焦点を当てた科目を設けました。また、卒業生の話をオンデマンドで聞ける授業も非常に人気で、登録者数が800人を超えたため、現在は抽選で受講者を選定しています。さらに、2022年10月にジェンダー教育と研究に特化したジェンダー教育研究所を新設しました。本学ではジェンダーに関する知識を深めるための多岐にわたるカリキュラムを提供しています。

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自分の意志で生きてほしい

学生時代は社会学に興味を持ち、その面白さに惹かれて社会学の先生の元で自主ゼミを行っていました。卒業論文を執筆して研究に興味をもったので、大学院への進学を希望しましたが、両親には猛烈に反対されました。当時は、短大に進学し、優れた企業で2、3年働いた後、結婚し退職し、子供を育て家庭を守るというのが一般的な女性の生き方でした。それでも夢を諦められなかったこともあり、アルバイトをしながら1年間、説得に努め、最終的には両親の許可を得て、翌年には大学院に進学しました。

当時と今の女性に対する価値観は全く異なっており、今後も変化し続けるでしょう。そのため、学生には現在の価値観や規範に縛られず、しっかりと自ら考え、自分が進みたい方向を自分の意志で選び、生きてほしいと伝えています。家族が意見をしても、自分の道に迷わず進んでいく強さを持ってほしいです。

そしてもう一つ、未来を見据えてください。世界を見渡してみると、日本よりも前を歩んでいる国はたくさんあります。そうした国の情報を収集し、人生の選択をする際の参考にしてほしいと願っています。

京都女子大学学長

竹安栄子

関西学院大学 大学院社会学研究科修了。追手門学院大学助教授・教授、京都女子大学教授などを歴任、2016年京都女子大学名誉教授。17年より京都女子大学特命副学長を経て、2020年5月より現職。

https://www.kyoto-wu.ac.jp/