企業の健康管理で
誰もが活躍する社会

開業して20年。たった一人からスタートした事務所は、今や24人に増えた。石川代表は「開業した頃に比べると、企業の意識も随分変わってきたと思います。どうしたら従業員が生き生きと活躍できるのか、幸せとなれるのか。そんな環境整備をしたいというお客様が増えてきました」と振り返る。価値観やコンプライアンスに対する制度なども変化する中、それに対応していきたいという企業の多くが、同法人を訪れている。

手掛ける業務は幅広い。就業規則やルールブックの作成から、ハラスメントを起こさないための定期的な研修、社員がやりがいを実感できる人事制度の設計など、企業の「人」に関するあらゆる部分の専門家として経営者を支える。同法人にはそれぞれ得意分野を持つ社労士が所属し、あらゆるケースにも対応できるように、チーム制を敷いている。さながら外科や小児科などさまざまな傷病に対応できる “総合病院”のような組織で、企業の健康管理をトータルサポートしている。

「患者が信頼している医師にだけ本音を明かすように、信頼を得ることが重要です。専門家に相談した際に、巷でよくあるのは『法律論だけで、現実が分かっていない』『話が難しくて分かりにくい』といったケースでしょう。私たちは、専門家の使命として、『相手に伝わる伝え方』を常に模索する必要があると考えます。『こういうことをしておくと、こんな素敵な企業の未来があります』とイメージを共有することで、より伝わりやすくなります。お声がけしながら、一緒に企業の健康を維持していくことを大切にしています」。

企業が病気にならない体づくりのサポート、「企業の体質改善」にも力を入れており、企業の経営者からの依頼を受けて、管理職に対する1on1ミーティングも実施し、好評を得ている。「ある管理職の方から、『会社の風通しが良くなって、会社として前に進んでいるという実感があります』という感想をもらったことがあります。そう感じていただけるサポートができたことは、非常にうれしく、やりがいを感じられます」と笑顔を見せる。

石川代表は起業する以前に、産休・育休を経ると優秀な女性でも昇進は難しくなるという当時の風潮に閉塞感を感じていた。葛藤の中で、人材活用について自然と興味を持つようになった。

上司の勧めもあり社会保険労務士資格を取得。転職活動を行ったが、「子供がいるとなかなか難しい」「女性は管理職になれない」と言われることもあり、悔しい思いをした。女性でも、子供がいても、働きたいという本人のやる気次第で活躍できる場所が必要だと感じ、自らがまずそのような組織を作ろうと起業に踏み切った。

石川代表は事業を続ける過程で、みんなが働いて楽しいと感じられることこそ、組織にとって重要だと考えるようになったという。「うちに来てくれた以上は、仕事を楽しんで成長を実感していってほしいと思います。弊社の社員自身が、生き生きと仕事をしていないと、お客様からの信頼も得られないと考えています。お客様の企業でも、入社される方が『この会社に入って良かった』『仕事って楽しい』と思う社員が増えたら、社会は良くなると信じています」と力を込める。

DX化を進めてきた同法人は、テレワークに関してもコロナ禍になる以前からいち早く導入していた。「家族の都合で、地方に引っ越さなければならない社員がいました。士業の事務所でテレワークは難しいと言われますが、せっかくうちで働いてくれていたので、デジタルツールを活用して、テレワークで仕事ができるように環境を整備しました。難しく見えることでも、どうしたらできるかということをみんなで考えるようにしているので、お客様が直面している困難も、どうしたらブレークスルーできるかというところを考えています」と語る。

顧客の思いに寄り添って問題解決ができる人材をこれからも育成していく。「世の中の変化も激しく、お客様の悩みも多様ですが、企業の総合病院としてサポートをしっかり行っていくためには、共感性の高い『人間力』こそ重要です。『人間力』を持ち、専門性の高い人材を育成して、社会に対して良い影響を与えられるような事務所でありたいですね」といい、企業の抱える悩みや困難に寄り添える人材を求めている。