動と静の調和から
ぬくもりある感性を

学校法人光幼稚園

島根県出雲市にある認定こども園光幼保園は、500年以上の歴史を持つ浄土真宗本願寺派源光寺に併設される。同寺の18代目住職でもある西谷正文理事長は、「動と静の調和から、ぬくもりのある感性を育てる」を理念に子供たちと向き合っている。

01

大きな存在が見守ってくれる感覚を

1953年に開園した光幼稚園は、元々境内に建てられていたといい、西谷理事長は「光幼稚園にというよりお寺に子供を預けるという感じだったと聞いています」という。現在では、そうした感覚はだいぶ薄れてきているが、本尊を子供たちは「ののさま」と親しく呼んで、登園時や降園時に「ののさま、おはようございます」「ののさま、さようなら」とあいさつをするのが当たり前になっている。

同園の理念は「動と静の調和から、ぬくもりのある感性を育てる」。西谷理事長は「子供は、放っておいても動いているので、それをサポートすべく園庭を広くしたり、近所の土手を使ったり、剣道を指導したりしています。そして、本堂へお参りして、正座で静かに話を聞く。動と静の両面をバランスよく日々の指導に生かしています」と説く。その成果で、歯磨き指導の歯科衛生士や公演に来る劇団員から「集中して、見て、聞いてくれる」との評価をもらっているという。

西谷理事長は「やんちゃな子をクールダウンさせるために、先生たちはよく『ののさまの前にちょっと座ってみようね』といいます。静かに心を落ち着かせることができる。はるかに大きい存在がいつも見守ってくれているというぬくもりのある感覚を持ってほしい」と語る。

02

宗教心を持つことの大切さ

自然を感じ取ってほしいと、2020年に丸みを帯びた一風変わった園舎を新築した。曲線の廊下は見通しがきかない分、子供たちの想像力が鍛えられるという。園庭は、子供たちが存分に走り回れる広さで、主体的に遊ぶきっかけを与えるため、井戸水のポンプを設置し、川やトンネルを作ったり、泥遊びをしたりするのに必要な道具をそろえたという。「これまでは保育者に『こうしなさい』と言われたことをやっていましたが、今は子供たちがやりたいことを見つけて、保育者はそれを応援しています」という。

西谷理事長は「自分は一人で生きているわけではなく、仏様なり神様なりに見守られながら生かされている、といった気持ちを持つことが大事ではないでしょうか」と宗教心を持つことの大切さを語る。

少子化が進み、「子供一人一人を大切にする保育ができる。そのためにも“見守られている”という宗教的な情操教育は必要になってくる。」と力を込める。西谷理事長は「仏様に手を合わせることで、静かに心を見つめるという文化を伝えたい」と意気込んでいる。

学校法人光幼稚園理事長

西谷正文

1956年、島根県出雲市出身。2022年に500周年を迎えた浄土真宗本願寺派源光寺の18代目住職であり、1953年に設立された光幼稚園(現在は認定こども園 光幼保園)の2代目園長。2020年5月には、園舎を新築。木材を多く使い、自然を感じられる園舎と遊びやすさを重視した広々とした園庭が特徴。木育や食育にも力を入れる。2022年に著書『ふしぎに出会う日々』を出版。

https://izumo-hikari.com/