脊椎脊髄外科に特化
専門医集団をつくる

医療法人社団博豊会

八王子脊椎(せきつい)外科クリニックは、脊椎脊髄(せきずい)外科に特化することで、より正確で安全な外科手術を実践している。森俊一理事長は「脊椎外科をさらに細分化し、それぞれに秀でたドクターが集まる病院を作りたい」と語る。

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単科を極め、設備の充実や患者満足度向上

森理事長が整形外科、中でも脊椎脊髄に特化した外科医の道を進むようになったのは、研修医時代に携わった救命救急治療がきっかけだった。森理事長は「東名高速道路が近くにある病院で、事故が起きる度に呼び出された。現場に出向き、その場で点滴をしながら骨折の治療をすることもありました」と振り返る。一分一秒を争うような治療を行う中で、恩師となる脊椎外科のドクターに出会ったことから「脊椎外科は今まで自分が関わってきたものと雰囲気が違っていた。一生追求できる分野なのではないか」と、脊椎外科を極めたいと思うようになった。

クリニックは、首、背中、腰など脊椎を由来とする疾患を専門に診る整形外科として、2013年の開院以降、都外からも多くの患者が来院する。森理事長が「さまざまな科が集まっていると一つの科だけに力を入れることは難しいが、単科の施設であれば医療機器などもブラッシュアップしていきやすい」といい、脊椎脊髄外科に特化した設備が充実している。

患者も迷わずに来院できるのも強みだ。「病院に行って、この症状は何科に行けばいいんだろうと悩んでしまうこともありますが、脊椎外科は首、背中、腰と脊椎由来の疾患なので、首や腰が痛い、手足がしびれるなどの症状から割とスムーズにたどり着ける。その分、治療に早く入れるというメリットがある」と説明する。さらにスタッフにもプラス面が多く、「脊椎外科のことだけをやるので、看護師にしても一人前になるのが早いし、受付のスタッフも、脊椎外科の患者が足元がおぼつかなかったり、指が動かしづらかったりする方が多いので、先回りして配慮できる。患者の満足度にもつながっている」と実感している。

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オーダメイドの治療を意識

クリニックでは、循環器をはじめ、他の医療機関との連携から、効率よく質の高い医療を提供する仕組みを整えている。森理事長は「どの連携施設も素晴らしい医療機関ばかりなので、脊椎外科の治療に注力できる。恵まれていると感じることも多」と語る。また、治療面では、さまざまなアプローチで、患者に誤解がないように説明をすることを心がけている。森理事長は「手術で大事なことはプランニング。年齢や骨質はもちろんですが、職業や性別、術後のライフスタイルなども参考にしながら手術方法を決めていきます。説明不足がお互いに一番不幸なことなので、患者の希望にあったオーダーメイドの治療を意識しています」と胸を張る。

少子高齢化社会を迎え、森理事長は「需要と供給のバランスから、将来的に医療は斜陽産業になっていくのではないか」と予測する。「今が過渡期で、高齢者が増えて、医療にとってはやりがいのある忙しい時期ですが、医師や医療施設が選別される時代がやってくるはず。生き残るためには、技術や知識など何か特別なプラスαの価値が必要」だと語る。

そんな思いを背景に、東京脊椎病院が2023年に開院する。「単科に特化したクリニックの良さをさらに拡大し、より質の高い医療、寄り添う医療が必要だと考えました。脊椎外科というだけでも専門集団と言われますが、その中でも靭帯(じんたい)骨化症や脊柱管狭さく症、成人脊柱変形など、病名が変われば手術も治療法も変わる。より細分化した専門ドクターが集まるような病院を作り、将来的にはそれを全国、国外に発信していきたいと思っています」と展望を語る。

医療法人社団博豊会理事長

森俊一

1963年、東京都出身。1993年、愛媛大学医学部卒業後、フジ虎ノ門整形外科病院。帝京大学溝口病院整形外科を経て、2006年、JAさいたま厚生連幸手総合病院の整形外科診療部長に。2009年、鎌ヶ谷総合病院脳神経外科脊椎センターのセンター長。2013年、八王子脊椎外科クリニックを開院。

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