投資をアプリで体験
社会を変える契機に

グリーンモンスター株式会社

老後2000万円問題や早期リタイアを目指す「FIRE」などが話題となり、資産形成は現役世代の重要な課題となっているが、株式投資やFXなどに興味があっても知識不足や心理的ハードルを理由に二の足を踏む人も多い。グリーンモンスターは、投資初心者がゲームやマンガなどで遊びながら投資を学べる体験型投資学習アプリを配信。2022年2月現在、インストール数はシリーズ累計500万件を突破している。同社の藤沢亜理沙取締役にアプリ開発の思いを聞いた。

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初心者のために「分かりやすくシンプルに」

同社が手がけているのは、株式投資に特化した「株たす」や積立投資をテーマにした「トウシカ」はじめ、「FXなび」「暗号資産なび」など、デモトレード体験などの実践的な学習からスムーズな投資デビューをサポートするアプリだ。資産運用のための投資学習に、現役世代から若年層まで広く利用されている。

同社の創業のきっかけは、藤沢取締役らが勤めていた会社が民事再生を申請したためだったといい、「特に明確な事業プランをもって創業したわけではありませんでした。ただ、ちょうどその当時、NISAなどが注目され始めていた時期でしたので、まずはその受け皿になるようなサービスを作ってみようと思ったのが最初のきっかけでした。だから、開発当初はメンバーみんなが金融や投資の初心者だったんです」と振り返る。

「投資は難しい」と思っていた初心者だったからこそ、分かりやすさに心を砕いた。アプリの演出にゲーム性を加えたり、マンガで説明したり、「分かりやすくシンプルに」を合言葉に工夫を重ねた。実践的な知識とスキル、マインドを身に付けられるようなダイナミックなデモトレードに加え、ユーザーの習熟度に合わせて機能が解放され、段階的に学んでいけるのも特徴だ。

藤沢取締役は「投資に興味があっても、やはりまだ『ハードルが高い』『損をしたくない』と不安を持つ方がほとんどではないでしょうか。ネット動画やオンラインセミナーなどと違い、当社のアプリは、投資への基礎知識を得られるだけでなく、実際と同じような取引体験ができるので、株を購入後にどう保有し、利益を確定したらいいのか、一連の流れを理解できますアプリで成功体験を重ねて、心理的な障壁を超えられるのもメリットの一つです」と特徴を語る。

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「投資」でよりよい社会の循環を

投資をより身近なものに感じてほしいと、2021年には人気お笑いコンビのチョコレートプラネットとコラボした。その結果、2022年2月には投資デビュー支援数(アプリ経由の証券口座開設数)が、延べ20万人を突破。着実に実績を積み重ねている。藤沢取締役は「『アプリを通じて投資デビューしたが、損をした。もう投資はやらない』という声をいただくこともあり、それは真摯に受け止めたい。今後は『投資デビュー支援』から『IS(Investor Success=投資家の成功)』へ、人工知能(AI)や、ICTなどのテクノロジーを活用したEdtech(EducationTechnolog)を駆使して、より実践的なコンテンツ開発に注力したい」と語る。

「アプリと同じようにスムーズな取引ができるのか」と慎重なユーザーのために、2022年3月末から、FXのテクニカル分析など実際の取引の場で役立つコーナーを開始するなど、確証を持って実践の場に踏み出すサポートを提供している。

藤沢取締役は、投資や資産形成について「重要性が高まり身近なものになりつつあるが、まだ浸透はしていない」と指摘。そこで同社では、個人的なお金のためだけの投資にとどまらず、人々と社会との関わり方を変えていく社会活動としての「投資」の普及に寄与し、よりよい社会の循環を生んでいくことをビジョンとしている。

「『日本ではGAFAのようなイノベーションが生まれない』という声もありますが、性急に起業家や巨大サービスを生もうとするのではなく、まずはそうした挑戦が生まれやすい土壌を作るためにも『投資』という活動がより皆さんの身近になってほしい」という思いで藤沢取締役はサービス開発に臨んでいるという。「我々の体験型投資学習アプリが、投資や資産形成を通して、消費者としてだけでなく支援者として社会に関わってもらうきっかけになれば」と話す。

グリーンモンスター株式会社取締役

藤沢亜理沙

1985年、長野県中野市出身。2008年、國學院大學法学部卒業後、リクルート入社。その後、比較メディア事業会社で証券やFXなどの金融クライアント担当を経て、2013年、グリーンモンスターの最初の社員として参画。2014年、取締役に就任、事業部を担当。

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