サブスク型後見人で
将来の不安に備える

株式会社Comternal

生涯未婚率が高く、ライフスタイルが多様化する現代社会、自分の生活や財産管理について頼れる人がいない、と将来に不安を抱える人も少なくない。Comternalが提供する「まいぱす!」は、事故や認知症などで判断能力が欠けてしまったときなど、保険だけでは対応できない、成年後見人が必要な場面でもサポートが可能なパートナーサービスだ。田中勢士代表取締役は「新しいビジネスで後見人制度を再定義していきたい」と語る。

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成年後見人制度を再定義するビジネスモデル

同社設立前に、生命保険の代理店に勤めていた田中代表は、独身者に「独身者などから『死亡保険より、病気や事故で入院したときに助けてくれる人がほしい』と言われることが多かった。また、脳外科の看護師だった妻から、意識不明で入院する独身者の連絡先が分からず、適切な処置ができないまま終わってしまうこともある」と聞いて、「何かあったときに担当者としてサポートできるサービスができたら」と考えたことが、「まいぱす!」設立のきっかけとなったという。

「まいぱす!」は、アプリでファイナンシャルプランナーや弁護士などの担当者を選択し、パートナー契約を結び、万一の場合に担当者が諸手続きを利用者の希望に沿うよう対応するというサービスを年齢に応じて月額3000円からのサブスクリプションで利用できる。生命保険と同じような感覚だが、保険では対応が不可能な成年後見人が必要なシーンでもサポートが可能だ。

「病気や事故などで何かあったとき、頼れる身内が全くいない場合は成年後見制度を利用します。専門家に後見人になってもらった場合、通常月2万円以上の費用がかかりますが、自分で判断ができないような状態なのに、さらに後見人の費用も捻出しなければならない。後見人とお金の両方が必要になったとき、『まいぱす!』なら、定額料金を支払うだけで対応可能です。担当者制で信頼関係を築けるのも大きな強み」と説明する。

同社は、元々ノーコードプラットフォームを使った受託開発などが主軸で、「まいぱす!」でもアプリで、長期間利用者と連絡が取れない場合や銀行口座に動きがあった場合にアラートを通知する仕組みを作っている。「判断能力が低下してから後見人を決める法定後見人の場合、財産を着服されてしまう事件も発生しています。我々のようなガバナンスがしっかりとした法人が間に入り、財産管理などを行う。今まで体系的に扱うことができなかった成年後見人制度を新しいビジネスモデルで再定義していく。これが『まいぱす!』でやろうとしていることです」と語る。

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超高齢化社会のソリューションに

結婚という形にとらわれずに生きる人々が増えている中、田中代表は「『まいぱす!』でつながるパートナーが、新しい人間関係を定義できるのではないか」という。「まいぱす!」の想定利用者は、40代以降の独身者や地方に両親を残して上京してきている親のサポートを委託したい人たちで、「葬儀以外にも手間のかかる行政手続きなどを行う死後事務委任契約だけでなく、入院時にも対応できるので、サブスク感覚で利用していけば、細かな手続きも全部対応してもらえるなら外注した方がいい、という需要があると考えています」と手応えを語る。

同社の企業理念は「未来をよりよき世界へ」だ。田中代表は「先人から受け継いだものを利用するだけでなく、そこで生まれた課題を解決し次の世代へとつなげていく『恩送り』のような会社でありたい」という。「今後、超高齢化社会を迎え、複雑化する課題を解決するソリューションになれば」と「まいぱす!」を立ち上げた田中代表は、「事業の柱はITと金融ですが、いずれもこのままでは子どもたちの世代で社会問題になってしまう課題も多い。だからこそ、今のうちに我々が適切な事業で解決してバトンを渡したい、という思いが根底にあります」と力を込めた。

株式会社Comternal代表取締役

田中勢士

1994年、山口県出身。陸上自衛隊高等工科学校卒業。保険代理店などの勤務を経て、2021 年4月にIT事業と金融事業を柱とする株式会社Comternalを設立。代表取締役に就任。 座右の銘は「他者より努力せず他者より勝るわけがない」。

https://www.comternal.org/