CtoCの未来
掴んだその先へいく

C2C Platform株式会社

C2C Platform株式会社(以下、C2C社)は、ダイレクトマッチング事業のDX化を開発から手がけ、企業のグロース支援までを包括支援する注目企業だ。現在26のプロダクト開発を行い、15のプロダクトをローンチ。レベニューシェア(成功報酬型)の形態をとりながら、プロダクトの開発だけではなく企業の成長にコミットする同社。代表取締役の薛悠司(ソルユサ)氏が捉えるCtoC市場の未来、そしてその先に見えてくるものとはーー。

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体験を通して感じたCtoC市場の未来。
スケーラブルな市場で勝負したかった。

大学在学中に有限会社VALCOM(現:株式会社エアトリ)を立ち上げ、新卒でリクルートに入社後、2012年にはベトナムでITオフショア開発会社であるEvolable Asia Co., Ltd.(以下、エボラブルアジア社)を設立した薛氏。堅調な成長を続け、3年後の2015年には500名を抱えるまでに至ったが、受託開発を中心としたクライアントワークだけではなく、「自社プロダクトを持ち、世界にイノベーションを起こせるような事業がやりたかった」と語る。

海外に住んでいたので、日本にいる以上に『Uber』や『Airbnb』など、いわゆるシェリングエコノミーと言われる分野の潮流を強く感じていました。実際に出張でアメリカに行った際もUberやAirbnbを利用してみて、これまでにない移動体験、宿泊体験を味わい、このマーケットが間違いなく伸びることは容易に想像できました。

UberやAirbnbは、「移動」や「宿泊」といった大きなマーケットを対象としていますが、今後はその10分の1、100分の1のマーケットでも、シェアリングサービスは必要になってくる。その時に、全ての企業が自社で開発部隊を抱えゼロからプロダクトを作ることは、コストとしても時間としても、非生産的です。そこに大きなチャンスを感じました。どんなシェアリングのプロダクトでも、共通化できる部分はある。そこを我々がアセットとして持ち、提供することで、必要な工数もかかるコストも大きく削減することができます。プラットフォームを作る際に、必ずしも自社にエンジニアがいなくとも実現できるのではないか。そう思って立ち上げたのがC2Cという会社です。

当時はまだCtoC市場も未成熟で、これから盛り上がってくる市場でした。例えばECサイトを作る際に、誰でも作れるECサイト制作のパッケージサービスのようなプロダクトはありましたが、CtoCはまだなかった。CtoCはECサイトのように「そのサイトに行けば購入できる」といった単純なものではなく、様々なサプライヤー(供給者)と利用者のパターンがあります。タクシーと移動者、ホテルと宿泊者、といったように。そういったプロダクトは難易度の高い開発案件となります。サービスを提供する企業が自社で開発を進めた後、さらに開発会社に委託するのではく、C2C社が最初から組ませて頂くことで、スピード、コスト、そしてクオリティに大きくアドバンテージを持たせることができます。

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成功も失敗も分かち合う、
本当の意味でのパートナー

C2C社ではレベニューシェア(成功報酬)の形態を取っています。「パートナーの成功にコミットする」といったような表現が抽象概念的に使われることが多いですが、C2C社の場合は文字通り、パートナーの成長がないとC2C社としても売上が伸びない。そこに我々の覚悟があります。コストパフォーマンスが大きいことはもちろんですが、開発以外にも、資金面やマーケティング支援など、パートナー企業の事業のグロースに必要なことを多方面からサポートすることができます。現在手がけているプロダクトは26件、そのうち15のプロダクトがローンチされており、様々な市場の「不」を解決しています。

『Nailie』(ネイリー)は、ネイルをしたい人と好みのネイリストをマッチングするアプリで、開発案件第一号としてローンチしました。ネイルは一人のネイリストが1日に4〜5名の施術をこなします。予約が入れば、そのコマに他の予約を入れることはできないので、一人キャンセルとなった場合、売上としては20〜25%の損失が生まれてしまいます。これまではクーポンサイトから予約しても、当日になってキャンセルとなることがあった場合、サプライヤー(店舗)側は大きな損失が生まれていました。『Nailie』はそのような非合理的な仕組みを解決し、現在100万DLを突破。現在もネイリスト、ユーザーともに利用者が増え続けています。

また、CtoCではなく、BtoBのダイレクトマッチングにはなりますが、飲食店と食品工場を繋ぐ仕込みマッチングサービス『シコメル』も大きく成長しています。食を提供する全ての店舗や企業が仕込みにまつわるコストや時間を削減できることで、人手不足の解消や従業員の労働負荷の軽減を行い、本来重視すべき商品開発やサービス提供に注力できるプロダクトです。このように、今まで中間業者が存在していたり、多重構造になっていた部分を我々が解決していくことでバリューを提供しています。

今後も間違いなくダイレクトマッチングの市場は伸びます。今ではアメリカでタクシーを乗る際に、Uber以外の選択肢はほぼありません。乗った瞬間に行き先は決まっていて、料金も明快。余計なコミュニケーションも必要ありませんし、運転手の対応が悪ければレビューがつきます。UberやAirbnbのみならず、様々な業種、業界でダイレクトマッチングは加速していくでしょう。なぜなら、そちらの方が合理的だからです。

ITの黎明期が終わり、WEB2.0から今まさにWEB3.0と言われていますが、今後はよりイノベーションのターム(時間)が短くなっていきます。インターネットが生まれ、メールが送受信できるようになり、iPhoneが出てアプリケーションが使えるようになりましたが、そのタームは長かったと思います。Uberが人間を介したライドシェアから、自動運転の方に舵を切っていくように、スピード感は10年前と比べて上がっています。だからこそ、価値が陳腐化するスピードも早くなります。中国がこの30年で大幅な成長をしたように、様々な新興国でも同じようなことが起こり、様々な常識がこの10年間で変わっていく。そのタームは、きっと短い。

我々がCtoCをやりきって安泰かというと決してそうではなく、今後加速するだろうイノベーションタームに合わせて、変化、進化しなければなりません。常に時代の「次」を見ておく必要があります。今はネイリストをダイレクトマッチングしていますが、近い未来にロボテックス導入の対抗策を考えなければならない時代が来るかもしれません。労働の在り方が劇的に変わっていけば、ロボットでは成せない「ゼロからイチを生み出すこと」がバリューになります。いかに価値の中心に居続けるかが重要となるでしょう。

我々はある種、業界の常識を変え過ぎているので、市場から受け入れられなかった時期もありました。テックカンパニーは、自社でエンジニアを抱え、自社で開発するのが当たり前という固定概念があり、我々のビジネスモデルが投資対象として評価されにくかったのでしょう。今まさに支持されている理由は、結果が出ているからです。明らかに自社開発をしているプロダクトよりも、C2C社と組んだパートナー企業がスピード感を持って成長しています。「そんなことできるわけがない」から、「そんなことができる」に変わりました。今後必ず、より大きくマーケットシェアを取るプロダクトも出てくるでしょう。
我々の可能性を、我々以上に評価している投資家はいないと思っていて、まだまだ過小評価だと思っています。

C2C Platform株式会社代表取締役社長

薛 悠司

大阪府出身。大学在学中に有限会社VALCOM(現:エアトリ)の創業に参画し、株式会社リクルート入社。 2011年ベトナムに移住後、Evolable Asia Co., Ltd.を創業。2014年、シンガポールにSoltec Investments Pte. Ltd.を創業。 アエラ紙「アジアを代表する日本人起業家100人」に選出。2021年、C2C Platform株式会社を設立。代表取締役社長に就任。

https://c2c-platform.com/