事業の成功を通じて
時代を牽引する人を

梁代表が2021年、東京・五反田にリニューアルオープンした治療院「R＆-ランド-」(治療院RAND)は、全国から“カリスマ治療家”が集まり治療を行う治療院だ。治療院としては変わったモデルだが、治療院「R＆-ランド-」が誕生した背景には、起業を決意する前は鍼灸師として働いていたという梁代表のこだわりがあるという。

鍼灸師は、「鍼（はり）」と「灸（きゅう）」を使って、自然治癒力の向上、病気の改善や予防、健康回復を目的として治療を行う「はり師」「きゅう師」という国家資格だ。梁代表は「多くの患者の役に立つことができて感謝もされる、とてもやりがいのある仕事でした。しかし24歳の時に、ただ無我夢中に努力をするだけではなく、より意義のある人生を送るために仕事や生活スタイルを含め、自分自身の“何か”を変える時なのではと考えました」と起業を決意した。

準備期間を経て、経営者としての基礎を身に付けるための勉強をしながら、イベント事業やセレクトショップの運営を手掛けた。鍼灸師の仕事とは全く異なる事業だ。心残りはあったが「今この瞬間に取り組むべきこと」に集中するため、4年間学んで資格を取得し大きなやりがいを感じていた鍼灸師の仕事を離れた。

そして、2020年に“エシカル”“サステナブル”“ビーガン”がコンセプトのセレクトショップ「style table(スタイルテーブル)コレド日本橋店」を出店。同店の運営をしながら、立て続けに治療院「R＆-ランド-」の立ち上げに向けて準備を進めていったが、そこには周囲からの声の存在が大きかったという。

　梁代表が元々鍼灸師であったことを知った周りの経営者や、仕事で関わるようになったプロのスポーツ選手などから、「広告などのマーケティングに力を入れているが治療は満足いくものではなかった」「腕のいい治療家をどう探せばよいか分からない。プロの目線で紹介してほしい」など、治療に関するさまざまな悩みが寄せられていたそうだ。そうした声から「あふれる情報の中から自分に合った治療を見つけられない」「腕の良い治療家が知られておらず見つける方法も無い」といった、治療業界全体の課題を改めて認識した。
そして、最高峰の治療家が集まり、時間をかけて探したり迷ったりすることなく、自分にあった治療を受けることができる治療院があれば良いと考えるようになった。「そんなアイデアを口にしているうち、ぜひ梁さんに作ってほしいという声をもらうようになりました」と話す。　

鍼灸治療院の利用率、とりわけ20～30代の現役世代のそれは一般的にかなり低いという。しかし、治療院「R＆-ランド-」はあえて、その世代をメインターゲットに据えている。それは、「現役世代として最前線で活躍している人たちにこそ、治療を通して心身をベストな状態に保ち、最高のパフォーマンスを発揮してもらいたいと考えているから」だという。

「そのために、治療のクオリティーを高めることはもちろん、若年層から支持されるブランドイメージの構築にも力を入れてきました。結果として広告に頼ることなく集客ができており、なおかつ利用者の8割が20～30代です。治療院「R＆-ランド-」としてサンフレッチェ広島レジーナをスポンサードした際のご縁から、サッカー元日本代表の柏木陽介さんや元FC岐阜の三國スティビアエブス選手、K−1王者ピーター・アーツ氏を招いた「style tableコレド日本橋店」でのイベント開催などを通じて、他事業とのシナジーも図っています」と語る。

梁代表は、他にも人材事業や介護施設事業、同じ志を持った人材の独立支援などのプロデュースも手掛けている。どの事業を経営するうえでも、根底にあるものとして、明治の政治家、後藤新平の「財を遺すは下、事業を遺すは中、人を遺すは上なり。されど、財なさずんば事業保ち難く、事業なくんば人育ち難し」という言葉を挙げる。

「どの事業も単に儲けるだけの短命で終わりたくない。できれば50年先、次の世代にも継続、継承できるような仕組みを考えています。そして、事業を通して関わった人が内側からも外側からも輝けるようアシストし、次世代を牽引するような人材を輩出していきたい。そのためにも、一つ一つの事業を着実に、スピード感をもって成功させていきたい」と熱く語る。